「らん菜/走るお野菜」と「青島太平洋マラソン」

2023.12.22

朝5時起床。会場受付はなし。

コロナ以後、郵送でゼッケンなどは送られてくることが、割と通常になっています。 準備して、新スタッフわーちゃん、オーナー真理子さんをピックして、うどん屋さんへ。

6時から開いている「なごみうどん」さんにて、しっかりと朝うどんを食します。

フルマラソンを走るには、2000〜2500kcalのエネルギーを消費すると言われています。消化が良く、体も温めてくれるうどんを食べることが、フルマラソンを走る前の恒例になっています。




6:45頃に到着。駐車場はまだ余裕がありましたが、どんどん車が来ていました。7時過ぎに停めた方は、満車で宮大方面に回されたらしいです。

10,000人以上が一斉に動いているので、気持ち早めに行かれた方が良さそうです。

私は、運動公園ではなく、本郷の消防学校に車を停めて、シャトルバスで会場に行くのがここ数年のルーティンになっています。

シャトルバスでサンマリンスタジアム前に降ろして頂き、7:30頃にいつものサッカー場に到着。

ランニング仲間が着々と集まり、各々準備。




暑くなる天気予報だったので、一枚着るか着ないかみんな悩んでいました。

あとは、音楽を聴くか、スマホをどうするかなど。

サングラスは白内障予防のためにつけた方がいいかもね、という貴重なアドバイスも頂きました。

バナナを少し頂き、サプリを飲む方や、つらないように薬?的なものを飲む方も。

私は、「らん菜」Tシャツ、帽子、ワイヤレスイヤホン、腰にスマホ入りのポシェット、くらいの装備。

トイレに行ったり、ストレッチをしたり、軽く走ったりしたら、あっという間に時間が来ました。




8:30、スタート30分前に各々スタート位置へ移動。

事前申告タイムによりCエリアからスタートしました。

スタート位置については色々とご意見あると思いますが、10回ほど走った経験上、私たちのタイムではCくらいがスムーズなスタートを切れるエリアだと思っています。

当店から参加するランナーの簡単な紹介

■ 新スタッフわーちゃん:専門学校1年生、元トライアスリート、初マラソン

■オーナー真理子さん:フルマラソン20回以上完走の鉄人ランナー

■店長私:フルマラソン10回目くらいのエンジョイランのランナー




青島太平洋マラソン スタートへ!


【9:00】スタート

スタートして5分ほどは歩きながら移動して、スタートの門をくぐる辺りから走り始めました。

ランナー10,000人が一斉にスタートします。お祭りのように盛り上がっていきます。

「らん菜」の文字が入ったユニフォームを着て走りますので、お客様や知り合いのランナーから声をかけて頂きます。

スタート時はわーちゃん、真理子さんと3人でコミュニケーションをとりつつ楽しく走り出しました。




3km地点で、家族が応援してくれていました。

子どもたちと写真を撮ったり、応援の手紙をもらったり(返して預かってもらいました笑)、いつも通り楽しい瞬間を過ごしました。


わーちゃんはこの辺で前に行きました。頑張れー。




バイパスを走りながら数人に声をかけて頂き、互いに頑張りましょうとご挨拶をして、また走ります。

距離はあまり数えておらず、キロ何分で走っているか、ちょっと早いかもね、など確認しつつ走ります。

8km地点辺りで、毎年写真を撮ってくださるご夫婦に声をかけて頂き、パシャリ。 今年も撮影して頂き、ありがとうございます。




【10:00頃】13km地点

宮崎市役所の手前、橘橋の南詰で、本店の超常連様のNさんと毎年恒例のハイタッチ!!

80代のNさんは、体調に気をつけながら、毎年ここで応援してくださいます。 Nさんは本店らん菜に週に3回来られます。

お店では、バランスの良い食事とお話を静かに楽しまれます。

ここのハイタッチは私たちにとって、1年間のハレの瞬間であり、かつお互いに健康に1年間を過ごせた喜びを分かち合う瞬間でもあります。

Nさんとハイタッチをすることが、アオタイにおいての、最重要ミッションの一つとなっていて、今年も無事に終えて一安心でした。

毎年本当にありがとうございます。そして来年も楽しみにしております。


県庁前を過ぎ、街中へ進みます。

途中、アートセンターでトイレをお借りしました。 待つことなく行けたので、割とおすすめです。




九電前で、また子どもたちが応援してくれていました。

保育園のパパ友たちも走っていたので、数組の同級生家族が揃っていて賑やかな応援でした。

走るお野菜の旗も作って頂いてとても嬉しかったです。

本当に元気が出ました!

NHK前にある洋服屋「TAIZO+me」さんで休憩をさせて頂きます。

らん菜の昔からのお客様であり、一緒に飲みにも行く仲でして、いつもトイレをお借りして美味しいお水を頂きます。

こちらでリフレッシュして神宮の折り返しへ向かいます。いつもありがとうございます!

今年は、神宮の折り返し前に、娘の同級生仲良しファミリーが応援してくれていました。

見つけて頂いてとても嬉しかったです。

そういえば、昨年は神宮あたりで真理子さんは転倒していました。今年は何度も気をつけてと声をかけながら走り、無事に神宮近辺を走り切りました。




【11:00頃】17km地点

神宮の折り返しまでは、練習をほとんどしていない割には、走れていたのですが、17kmあたりで足の疲労度がかなり厳しい状態に。

練習不足が明らかに露呈していましたね。まだ半分も走っていない中で、この状態は非常にストレスでした。

まあ、練習をせずにきた自分が悪いので、向き合ってなんとかするしかないのですが、絶望的な気持ちで、しんどい時間を過ごしつつもなんとか走り続けました。

20kmあたりで(スタートから2時間半以上経過し)、朝のうどんが消化されたのか、急にお腹がすきました。

「そうだここからまだ3時間以上も走るんだ」とはっとして、エイドステーションにあったドーナツを2つとって齧り付きました。

また、橘橋に後輩M君家族がいて、息子くんから飴を大量にもらいました。 普段は喉が乾くので飴は食べないのですが、今回は体が欲していたのでしょう、噛み砕きながら一気に食べました。

糖の摂取が良かったのか、これでメンタルも安定してきて、冷静に走る体制に切り替えることができました。 息子Kくんありがとう。

真理子さんが少し先へ行きました。

一人、ワイヤレスイヤホンで音楽を聴きながら走ります。 好きな音楽をランダムで流しつつ、音楽に引っ張ってもらいます。




22kmあたりで、本店に中学生時から来てくれているM君に抜かれました。

20代中頃になったM君はマラソンにハマりつつあり、タイムを伸ばしています。頑張れ頑張れ。

この辺りから、次の1kmのことだけを考えて走るように心がけました。 自分のリズムをキープしつつ、次の地点「23km」とシンプルに頭の中で唱え、余計な思考をシャットアウトします。

考えるエネルギーを節約しながら、ただ走ります。

そして23kmの看板までくると手を小さく二つ叩いて、ポジティブな言葉を自分にかけます。

エッセイストでご自身もランナーの松浦弥太郎さんは、著書の中で次のように書いています。


ある記事では、24時間走り続ける世界最高峰の自動車耐久レース『ル・マン』で優勝した一流ドライバーが、こんなことを語っていました。 レースに勝つためのコツは非常にシンプルで、つねに次のコーナー、次のカーブのことだけを考え続けることだと。 次のカーブはこう、次の大きなカーブはこうー機械的に次のカーブのことだけを考える。あとはいっさい、考えない。

— 松浦弥太郎from『いちからはじめる』

次元が違う話ですが、頭をシンプルにして、ただ直後の次のことだけに集中する、自分のできることに集中する、という点で非常に示唆的だと思います。




【11:30〜13:00】20km〜30km

しんどい20km〜30kmを、ただただ、しのぎました。

長いバイパスを歩いたり、走ったり、ストレッチをしたりしながら、なんとかかんとか30km地点まで辿り着きました。

【13:00頃】30km地点

ここからフルマラソンの本当の噛みごたえが出てきます。 味がする、とも言えますね。

体力はとっくに限界で、余裕は全くありませんが。

スマホの充電も切れかかって、音楽も頼りにできない状態でした。 昨年の反省を活かして、靴を新調して、5時間代で走るランナー向けにクッションが効いているものにしていました。 これが唯一のプラス材料でした。

歩いている人も多い中、呼吸に集中して、自分のペースを作ります。

次の「31km」だけ頭に反芻させて、ただ走ります。

周りは関係なく、自分の呼吸や体の動きに集中します。

サンマリンスタジアム周辺は賑やかで、元気をもらえました。

33kmすぎでドーナツを一つ食べ、トロピカルロードへ向かいます。




【13:45頃】34km地点

レースも終盤ですが、残り何キロという考えはなく、とにかく数字を積み上げていく作業に集中します。

「34km」手前あたりで、途中抜かれたM君を抜きました。肩をトントンとたたき、励まし?をして走ります。

ここからは自分でもよく走れたと思います。給水で休む以外は歩かずに、ゴールまで走り切りました。 気づかないうちに、真理子さんも抜いていました。

ペースは遅いながらも、ランニングハイになっていたようですね。

作家の村上春樹さんは、ランニングについての著書で次のように書いています。


僕は走りながら、ただ走っている。僕は原則的には空白の中を走っている。逆の言い方をすれば、空白を獲得するために走っている、ということかもしれない

— by村上春樹from『走ることについて語るときに僕の語ること』

30kmからフルマラソンの本番と言われるのは、まさに、この「空白を獲得する」ゾーンに入るからではと個人的に思っています。

この瞬間のためにマラソンを走っている、とも言えます。




【14:30頃】42.195km ゴール!!

そして5時間34分でゴール。

解放感、達成感、高揚感、わずかな自信、自分の伸びしろへの期待、安堵感、感謝の気持ちなど、何度味わっても、フルマラソンのゴールは格別でした。

わーちゃんは、初マラソンにして5時間を切る好タイムでゴール! 足を引き摺りながらも、「来年も走りたいです!」と超元気で最高でした。

わーちゃん的にはコースの途中に女子トイレが少なくて苦労したようです。

改善して頂けると女性ランナーが、より安心して走れる大会になるかもしれません。

真理子さんは5時間36分でゴール!66歳の鉄人ランナーですね。

仕事も私たち同様かそれ以上して、マラソンも走って、まさにエネルギーの塊です。 無理がない範囲で、走り続けられるように頑張ってほしいものです。




青島太平洋マラソンを終えて


マラソン大会では、アドレナリンが出ている ことや、異常な疲労感から、通常よりもエモーショナル に感じやすくなっているのでしょう。

それにしても、素晴らしいなと思う瞬間が今大会も いくつかありました。

①身内ごとで恥ずかしいですが、完走して真理子さんと 握手して互いのランを称え合った瞬間

②ランニング仲間のSさんに「よく頑張ったね!」と 褒めてもらった瞬間

③足を引きずりながら走る最終ランナーに、帰りのバスを 待つ行列の人々から激励の大きな拍手が送られ、ランナーの方も 帽子とサングラスを外し、挨拶を返していた場面


いずれも、グッと感情が刺激されました。 特に最後の場面では、フルマラソンを走り切ったランナーにしか 分からない深い共感と、思いやりが凝縮されていて、 つい涙を流してしまいました。




サンマリンスタジアム前からシャトルバスで消防学校に送って頂き、 車で帰宅しました。

夜は、街の和食「ぼんぼん亭」さんで恒例の打ち上げ。ランニング仲間 の皆さんと楽しいひとときを過ごしました。

極度の疲労の身体にビール と丁寧な仕事の和食が最高に美味しかったです。




師走の一大イベントが無事に終わりました。

今年は、気付きがありました。

星野源の新曲で『しかたなく踊る』という大人な曲があります。

「仕方なくさ 今もまだ生きてるんだ  素晴らしいさ このクソの中で  しょうがなくさ 息をしては踊るんだ」 社会を批判しつつ、受け身だけど、踊るんだと。

とにもかくにも、踊ればいいし、走ればいいよと。

最高にかっこいい曲だし、素晴らしいと思います。 がしかし、今回フルマラソンを走り切って思ったのは、走ることには、 もう少し自発的で、ピュアに向き合いたいなということでした。

40歳にもなったし、もう「しかたなく走る」のをやめにしようかなと。

スーパースピードのランナーになるわけではないけれど、「自分から走る」 ランナーになりたいと思いました。結果として、少しでも成長していければ いいなと。




最後に、走られた全てのランナーに最大限のリスペクトを。

本当にお疲れ様でした。 次は年明けの2月に都農尾鈴マラソンを走ります。また会場でお会いしましょう。

アオタイを完走された方には、生ビール一杯サービスさせて頂きます!

本店「らん菜」にもぜひお越しくださいませ。